医大協について

ご挨拶

   

 本協会は、戦後1954年(昭和29年)当時の既設13大学の私立医科大学学長・病院長が一堂に会し、私立医科大学、医学部を持つ私立大学と病院の運営に関する共通の問題点を討議する学長・院長会議として組織されました。その後、「私立医科大学協会例会」と名を変え、活動を続けて参りました。

    1970年(昭和45年)以降、新設医科大学が次々と創設される中、1973年(昭和48年)9月、文部大臣から設立許可を受け、同年11月「日本私立医科大学協会」と名を変え創立総会が行われました。1978年(昭和53年)には協会の加盟大学は29大学となりましたが、令和5年度より、新設医科大学1校の加盟が承認され、30校となり現在に至っております。

 本法人の目的は定款上「私立医科大学の重要性に鑑み、教育、研究および経営に関する研究調査ならびに会員相互の提携と協力によって、私立医科大学の振興を図り、その使命達成に寄与し、もって我が国の医学および医学教育の進歩発展に貢献することを目的とする。」とあります。協会はこの目的を達成するため、総務・経営、教育・研究、病院の3部会とこれに連なる37もの委員会等を組織し、経営から教育・研究・診療に至る幅広い調査・研究・提言等を精力的に行っています。

 現在、我が国の医学・医療を巡る環境は極めて厳しいものがあります。医の倫理、医師の地域偏在・診療科偏在問題、シームレスな医学教育改革と共用試験の公的化、新専門医制度の導入、新型コロナウイルス感染症への対応、医師の働き方改革による財政負担問題、男女共同参画社会、医療における消費税損税負担問題、診療報酬改定、医療安全・感染対策、臨床研究の推進など様々な課題に直面しています。一方、大学病院は特定機能病院と位置付けられており、国民への高度医療の提供の期待に応えられる様、高度最先端の大型医療機器の整備を進めています。

 これら諸問題解決には各大学とも財政の裏付けが必要です。一方、日本の教育費公的負担は対GDP比2.8%で、データ(2019年)のあるOECD 加盟37カ国中36位です。また、国立大学と私立大学の格差は極めて大きく、また、国立大学学生四十数万人に対し、私立大学学生は二百数万人と、高等教育を私立大学が7割を担っていますが、私立大学に対する公的補助は極僅かです。学生1人当たりの公的補助には13倍の開きがあります。

 昭和50年「私立学校振興助成法」が成立しました。「私立大学に対する国の補助は、速やかに経常的経費の二分の一とするよう努めること。」とされたにも拘らず、その割合は年々低下してきており、医学部に於いては現在では5%を切っています。国会で決議されたものが、政策に反映されていないことは残念でなりません。

 本協会は、関係諸団体と連携し、国民の負託に応えるためにも、格差是正に取り組み、教育・診療・研究環境の改善に全力を挙げて取り組んで行く事が求められています。私立医科大学の使命である高度な教育・診療・研究を提供するためには各学校法人が健全な経営を行う環境にある事が最低条件です。私立医科大学協会と各学校法人が、知恵を出し合いこの難局を乗り越えて行かなければなりません。

 さらに、国民の疾病構造の変化、感染対策、高齢化社会の到来、医療に対する国民のニーズの多様化など複雑多岐な医療環境の変化にも対応するなど、私立医科大学及び大学附属病院の役割と責任はいよいよ重大となって来ております。

 これらの非常に重く重要な諸課題が山積する中、協会加盟各学校法人や他の関連機関と連携し協力の下、国民が求める高度な教育・診療・研究を発展させ、私立医科大学・医学部の発展に資する活動を展開して参る所存です。関係各位の絶大なるご支援を切にお願いする次第です。

 

一般社団法人 日本私立医科大学協会

            会 長   小 川   彰